地元ネタ

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 やっとこさ最後のペーパー(レポートのようなもの。文系院生にとってはこいつを仕上げないと学期が終わらない)を提出完了。これでやっとWOGのドタバタした1学年が終わった。の割には提出先の英文科の事務室の場所が判らなくて迷ったり(苦笑)、本当に自分は学生をやっているんだかよく判らない状態だった。ともあれ、これから6月末まではのんびりと暑い(今日も暑かった・・・90度あったそうな)シャーロットで夏クラスも取らずのんべんだらりと過ごすことになりそうだ(ちったあ金稼げよ自分)。

 さて、ファイナルに限らず試験期間中というのは、何故か別のことをしたくなってしまうものだが(名古屋弁では「ほかごとをする」と表現する)、WOGも多分に漏れず「名古屋弁のページ」なるものを発見してしまい、爆笑して気を紛らわせていた。WOGは正確に言えば名古屋の出身ではないが見事に文化は名古屋に支配されている地域なので言葉を聞いても大体意味は判る。きんさんぎんさんの言葉が字幕無しで判る程度には名古屋弁とは近しい仲なのだ。しかしながら生活言語として保有してきた方言が文字という形で明示化されるとかなり笑えるものだ。「お湯ちんちんやでよお入れへんわぁ」と書いてもどうしたって名古屋弁を使わない人には卑猥な文章にしかならないだろう(苦笑)。
 その名古屋弁のページにも書いてあってなるほどと思ったのが、「名古屋人というのは自分がなまっているという感覚がない」ということ。関西人は「自分が東京とは違う」ということを強烈に自覚して意識的に関西弁を直さない一方、東北人は自分の喋っている言葉を苦心して標準語でカモフラージュする。しかし名古屋人はそれ以前に自分の言葉に自覚がないオメデタさがあるんだそうで。
 確かにWOGも11歳の頃までは自分の喋っている言葉は全国で流通する言葉であって、文章の言葉は自分の喋り言葉とは違うけれども、文章の言葉は丁寧な言葉だから、普通にしゃべる言葉と違っててもいいのだ、などと思っていたものだ。
 それが11歳になって転機(というまでの大袈裟なものでもないが)を迎える。サマースクールで東京のインターナショナルスクールに遊びに行った小学五年生のWOGはプールの更衣室で東京の子達にこう言ってひやかされたのだ。
「WOGちゃんって、なまってるよね」
 待てこら、今何て言った?「なまってる」?ワタシの言葉がなまってるとは何事だ?・・・でも、よく考えてみよう。嗚呼、ワタシは実際にここの子達は使わない言葉を使っているではないか!そうか、自分はなまっていたのか!!
 このカルチャーショックは非常に大きく、サマースクールの間中11歳のいたいけなWOGはなまりを直そうと必死で努力したものだった(実際のところ、殆ど治らなかったのであるが・・・)。
 その甲斐あってか、大学で東京に出て来るまでにはかなりなまりは是正されており、とりあえずは日常生活には支障がないまでになった。しかしそれでもやはり脇などをくすぐられると「こっ、こそばいい〜」と、つい口をついて出てしまうし、冷たい水がはねて体にかかると脊髄反射的に「わっ、ひやこいっ!!」と叫んでしまう。もうこの辺は一生直せないものなのかも知れない・・・(^^;)
 この訛のひどさはとりもなおさずウチの親から受け継がれてしまったものだ(と責任転嫁してみる)。特にWOGの母はなまりの世界でしか生きたことがない人のため、東京へ行こうがパリへ行こうが全て大垣弁というある意味天晴れな精神の持ち主である。一応他人行儀の言葉は標準語に近い言語を喋るが、ちょっと気が緩むと酷いもんである。
 ウチの父親はウチの母親の兄と同じ職場に勤めているのだが、ある日、母親が父親に用事があって職場に電話をかけたときのこと、
 「あ、○○(職場の名前)ですか?××(WOGの名字)でございます、いつもお世話になっております・・・」
と「よそいき」の声を出して話を始めたのだが、電話に出た相手が自分の兄だと判った途端に,
 「なんやぁ、あんたかぁ! うちんとこおるけ〜!!」
に豹変してしまい、横で聞いていたWOGは腹を抱えて笑ってしまった。ひ、ひでぇ・・・。
 また、ウチの母親のこんな武勇伝もある。一度大学で一緒だった友達2人を家に呼んだことがあった。2人とも東京近郊の出身で、名古屋とは何の関係もない人達だった。親は一生懸命、それこそ余計すぎるぐらい友達をもてなしてくれた。友達が無事それぞれの家に帰った後、友達の親さんからお礼の電話がかかってきた。母親は無礼のないように精一杯丁寧な言葉を使い「いえいえ、とんでもございません」とか「こちらこそ本当に・・・」などと受け答えをしていたのだが、相手に褒め倒されて、最後の最後でしっぽが出てしまった。
「よういわしてまうわぁ〜」
この発言をやっぱり横で聞いていたWOGが電話に聞こえるぐらいのボリュームで爆笑してしまったのは言うまでもないだろう。

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