シドニーオリンピックin USA

9/21

 現在、シドニーオリンピックが世界中で絶賛放映中だ。WOGは学校の勉強がやたらと忙しくて満足に見ることも出来ない。スポーツ観戦好きを自負する身としては何とも悲しい限りなのだが、救いというか、困ったことというか、アメリカ人はこのシドニーオリンピックにはあまり関心がないらしい。よって、今現在話題についていけないということも殆どない。ああ、でもそれにしても柔道のヤワラちゃんとか野村君とか、ソフトボールで日本がアメリカを破ったゲームとか、野球の日米戦に先発した松阪君とか、久しぶりに決勝トーナメントに進出した日本男子サッカーとか、もっと見たかったのに・・・(泣)。
 アメリカのこの「オリンピック不人気」はどうやら全米中継を契約したNBCが13時間もの時差に生中継を断念してしまったことが一番の理由らしい。これは当たり前で、スポーツなんてのは「この時、この一瞬のみのどう転ぶか判らない勝負」の取れたての情報であるのが最高の価値を持つ。で、昔と違って今はインターネットが発達しているから、TVで放映される前にネットで調べれば結果が分かってしまう。こんな状態でスポーツを見るのは、まるでくしゃみが途中で止まってしまったような釈然としない気持ちであることだろう。
 今回のNBCでの平均視聴率は、バルセロナ、ソウル、アトランタの過去3回を大きく下回り、広告主が期待する宣伝効果が思った通りに行えていない。それまで「借金を抱え込んだようなもの」と言われたオリンピックを、ロスアンゼルス大会で一躍「企業広告の投資先としてもかなり魅力的な金まみれの一大スペクタクルショー」に変えてしまったアメリカがこういう状態になっているのをみるとサマミヤガレと悪魔笑いしたくもある。大体アメリカがオリンピックをショーにしてしまったのが、それ以降の五輪開催地の選定における不正な接待や資金提供を引き起こした、といってもよいのだ。この悪しき癒着が発覚したのが、図らずもアメリカのユタ州ソルトレイクシティだった、というのはなかなか興味深い因果応報というべきか。
 シドニー五輪の視聴率低迷の理由として、もう一つ理由が挙げられる。それは「アメリカ国内で行われてないゲームだから」だ。この辺、世界の素晴らしい選手と競う日本選手の晴れ姿のためならば、早起き夜更かししてでも見たいという日本人とは対照的で、自分の身近で起こっていないことに関してアメリカ人は笑える位に無関心なのだ。実際先週の日曜日はオリンピック放送(勿論アメリカ人選手が主役)がされているというのに、アメリカ人の大多数のスポーツファンはそんなものよりフットボールに一喜一憂なのだ。ここシャーロットなどはその日に地元チームのカロライナパンサーズの今シーズン初めてのホームゲームがあったため、おそらくNBC番組を放映している地元局WCNCの視聴率は見るも無惨なことになっていたのではないか、とこっちが心配してしまった程だ。
 逆にすれば、アメリカ人というのは、アメリカ国内で行われる国際大会に関しては、民放キー局でさえ全国放送してしまえば、大会の興奮に盛り上がれてしまう非常に簡単な人々だとも言える。LAやアトランタなどのオリンピックは勿論のこと、1994年に行われたサッカーのワールドカップなどは典型的な例だった。それまで男子サッカーなどはアメリカ人の中では殆ど観戦スポーツとしてのメニューに入らなかったものが、この大会の盛り上がりで一気に火がついた。今ではアメリカ国内にはプロリーグであるMLS(Mejor League Soccer)が創設され、ヒスパニック系アメリカ人を中心にそれなりの人気を誇っている(とはいえ、フットボールやバスケットボールや野球に比べればその人気は明らかに落ちる)。
 ついでに言えば、「全米中継される国際大会」で「アメリカが最強」であれば人気のは加熱は五割増しだ。1999年夏に行われた女子サッカーのワールドカップの時のアメリカ国内の盛り上がりようはやたら凄まじかった記憶がある。一応この大会には日本も参加していたのだが(確か決勝トーナメント位までは進んだような覚えがある)、日本での女子サッカーの地位は男子サッカーに比べて余りにも低いためにその大会の様子はTVのスポーツニュースですら殆ど放映されることはなかった(ような気がする。どこかで放映していたらごめんなさい)。かたやアメリカではその時の決勝戦で最後にPKを成功させた選手がユニフォームを脱いでガッツポーズを決めた写真が「今年最も印象に残った写真」に選ばれていた。
 こういった辺り、アメリカ人の「アメリカが世界」というどーしょーもない思いこみを見せつけられてしまっているようで日本人としてはあまりいただけない。いや、アメリカ人は既に「アメリカ」どころか、自分の身の回りが世界だと勘違いしている人がやたらと多いような気がする。まぁ、そういうふうに思い込ませているアメリカのマスコミも悪いのだが、もうちょっとこう、その辺の独りよがりを何とかしようとは思わないのだろうか。ああ、でもこーいう人達にそのような言動を期待するのは必要に迫られない限り無理なんだろうな(溜息)。
 来年以降の話なんぞしたら鬼が呵々大笑しそうだが、これに懲りて次回のアテネ五輪では生中継に切り替えて欲しいものだ。でないと、今度こそホントにオリンピックそのものがバブル崩壊しまっせ(悪魔笑)。

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