2003年06月06日(金)  カメヲタ脱線話。
 ここのスポーツ系の掲示板で少し前に「日本にはカメヲタが多い。スポーツ会場でも立派な装備を持った人々が多いので、自分がSLR(一眼レフ)を持って行っても全く目立たないので落ち着く」という話を書きましたが、つらつらいろんなことを見聞きするうちに、「もしかしたら日本のカメヲタのかなりの部分鉄道カメヲタが占有しているのではなかろうか?」という結論に達しました。

 そこでも書きましたが、アメリカってホントに泣けてくるぐらいカメヲタが少ないのです。といってもヨーロッパなどに行くと立派なワンレフさげてるおっちゃん観光客のほとんどはアメリカ人。彼らは楽しそうにヨーロッパの歴史ある風景をカメラに収めています。

 しかし観光でカメラ(もしくはカムコーダー)を使うというのは観光客なら誰でもやることかもしれません。というのも、一旦アメリカ国内に戻るとあのワンレフのおっちゃんの姿は雲散霧消してしまうのです。アメリカに暮していると「日常場面でのカメラ使用」というのはほとんど見かけません。子供の学校の運動会というのもありませんので、カメラのベスト位置確保のために早くから席取り合戦に明け暮れる親の姿もありません。

 これはとりもなおさず「日常生活でカメラを使わなければ手近に引き寄せられないと考えられる興味対象がない」ということを示しているのではないかと思われるのです。

 ところで、アメリカでは一応鉄道が通っていますが、NYCやシカゴ近郊でもなければ鉄道が通るのは一日2-3回。拙者が住んでいたシャーロットにも一応NYC発ニューオーリンズ行きの寝台列車が通ってはいるのですが(鉄ヲタの人なら血肉沸き踊るのでしょうか・・・)、「この踏み切りで列車が通るのなんてほとんど見たことないわ」というアメリカ人の知り合いは何人もいました。つまり、アメリカ人にとっての主な交通手段は車か飛行機であり、列車というものは全く疎遠に感じられる対象なのです。

 翻って日本はどうでしょうか。日本ではとくに都市部においては鉄道が主要な移動手段であり、一時間に何本も(時には何十本も)踏切を通過していきます。一日2-3回というのはよほどのローカル線でないとありません(っつか、その前に採算取れずに廃線か三セクになるか、その程度だと)。日本の人々にとって鉄道はとても身近な存在なのです。

 そして廃止予定の路線の最後の便や特別列車ともなるとどこからともなくうようよとカメラの人だかり。彼らは、自慢のカメラで列車を取り続けます。そうです、この人たちこそが鉄道カメヲタです。この人たちの装備たるや、素晴らしいものなのです。日本に多く存在する鉄道ヲタク(拙者は敬意を込め「テツ」と呼びます)こそが「日本にあってアメリカにいない種類の人々」なのです。

 おそらく、アメリカでは『世界の車窓から』なんていう一部の人に熱狂的に支持されているシリーズTV番組や、『電車でGO!』などという鉄道操作シミュレーションゲームが売れまくるなんていう現象は起こりえないでしょう。また、各学校にも「鉄道研究会」なる部活が存在することもないでしょう。カメラも然り。動きの速い被写体(列車)を撮るために彼らは必然的に性能のいいカメラを購入することになるのです。

 勿論、これが「日本人にはカメヲタが多くて、いろんな場所でカメラを構えている人を見かける」という理由の全てではないでしょうが、鉄道カメヲタが日本のカメラ市場、ひいてはアマチュアカメラ界を底支えする重要な部分を構成していると言っても過言ではないでしょう。

 拙者は「モハ103-382」と聞いても全く判らないのですが、これを聞いただけでどこで作られて、主にどこで走ってる車両かを生き生きと目を輝かせて語る人々は、ある意味「日本の貴重な文化的存在」と言えるのかも知れません。


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