2004年04月13日(火)  イラクでの日本人人質について
 いくつか気になったことを短く述べておく。

(1)自作自演説その1
 イラクのファルージャ付近で拘束されている日本人人質について、アルジャジーラがビデオを公開してからというもの、各メディアはトップニュースで扱っている。
 しかし、その主張と家族のクローズアップ、そしてビデオの作られ方からして「自作自演なのではないか」という疑惑が持ち上がっているそうだ。

 確かに人質達の身柄が確保されていない現在の状態、それから人質の様子が巧妙に編集されたビデオテープ(更にそのビデオテープのレコーダーが日本製であるというのが自作自演疑惑の発端ともなっているようだ)と文書という、「現ナマ」ではなく間接的にしか状況を把握出来ていないというこの2点において、そういう推理が成り立つ余地は充分にあるとは思う。しかし、だからといって人質の家族のところに一日100件近く嫌がらせの電話が相次いでいるというのもどうかと思う。
 こういった議論は個人的に思うに家族や本人を含まない範囲の議論にとどめておくべきである。

 しかし、それにしても、メディアの「家族はこんなに苦しんでるんだよお涙頂戴」な取り上げ方が「北朝鮮による日本人拉致問題」に酷似していることはどうして誰も言及しないのであろうか。結局は日本社会というのは家族や親族が出てこないといけない仕組みになってしまっているのだろうか。これでは「市民」が誕生する余地はなかろう。

(2)自作自演説その2
 スカパーのお陰でCBS Evening Newsがリアルタイムで見られている現在の私なのだが、日本人人質の1人に犯行グループがナイフをつきつけるシーン、明らかにアメリカ本国では放送されているはずなのだ。しかし、リアルタイムにもかかわらず、日本の放送分では不自然な静止画面が現れたのだった。

 別にわたしはそんな残虐なシーンを率先して見たいと思うサディスとではないが、「日本人だから」という理由でナイフのシーンを見せず静止画面にする一方、イラク人に捕らえられたアメリカ人の捕虜の画像やファルージャで晒し者にされたアメリカ人の死体、それからウダイやクサイやイラク人の死体映像を堂々と見せている、そのダブルスタンダードはどうかと思う。

 結局のところ、日本のメディアというのはウダイやクサイの顔は全国放送で流しておいて、自国の人質や遺体にはモザイクをかけたりするアメリカのメディアの猿真似でしかないのだろうか。

(3)国民性なんでしょうか
 ついでにBSでやっているZDF(ドイツの放送局)のニュースも見てみた。

 現在行方不明になっているドイツ人(ドイツの放送局から言えば自国民である)2人について「死亡している可能性が高いですね」と解説員らしき人がさらっとコメントしたことが衝撃だった。そんな重大で議論を巻き起こしそうなことをさらっと言ってしまっていいものなのだろうか、と日本住民のはしくれである私などは考え込んでしまった。

 ともあれ、一つだけ言えるのは、これが今の日本のニュースで日本人人質についてこんなことを言ったら、そのテレビ局は確実に潰れるであろう、ということである。


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